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財産引受規制の諸問題

会社設立と財産引受規制の諸問題

財産引受とは、発起人が将来設立する会社に必要な一切の財産を第三者から譲り受けることを約する契約のことをいいます。会社設立後に直ちに事業を開始することができるように必要な財産を会社設立手続中から確保するためになされるもので、開業準備行為の一つです。会社設立の際における過大評価が存在する点では現物出資と異なることはないため、会社法は財産引受についても現物出資と同様の規制をしています。発起人が開業準備行為として財産引受を行うことができることの説明として、判例は開業準備行為は本来発起人の権限外の行為ですが、実際上の必要から一定の条件を付して例外的に許容したものであるとしています。

会社側から追認できるかどうかについては争いがあります。会社資本の充実の観点から追認を認める見解もありますが、判例は厳格な法の規制を潜脱するものとしてこれを否定しています。この規制は現物出資に対する規制を、売買という形で回避するのを防止するために定められているものですが、特定の財産について事前に譲り受けの話し合いのみ行い、発起人が会社設立後取締役に就任してから譲渡の契約を締結したことにすれば、規制の回避が可能となります。そこで会社法は、会社がその成立後2年以内に、成立前より存在する財産で事業のために継続して使用すべきものを資本の20パーセント以上に当たる対価をもって取得する契約を行う場合には、株主総会の特別決議を要するものとして、かかる手段の利用に制限を加えています。これは事後設立と呼ばれています。財産を引き受ける際には、原則として裁判所の選任する検査役の調査を経る必要があります。

もっとも、これには例外があり、定款に定めた目的たる財産の価格の総額が500万円を超えない場合、定款に定めた目的たる財産が市場価格のある有価証券であるときに、定款で定めた価格が市場価格を超えない場合、引き受けに関する定款の定めが相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人の証明を受けた場合には検査役の調査を経る必要はありません。この例外規定により、財産を引き受けることが容易になっています。このような検査役調査の免除を受けた場合であっても、設立時取締役等は、定款で定めた価格が相当であるか否かの調査や、専門家が提出した証明書の調査を行う必要があることには注意が必要です。

会社設立の段階で、会社財産を保護し、ひいては株主の利益を保護するため一定の規制が課されているといえます。

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